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2018.01.23
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「外を走っているバイクの音がうるさくて、なかなか眠れない!」といった経験は、きっと誰しもあることと思います。
マンションで暮らしていると、騒音がご近所とのトラブルに発展してしまうケースもあります。
今回は、マンションで暮らす際の騒音について見ていきましょう。
「今の家は大丈夫だから」と考えていても、思わぬことが騒音トラブルに繋がってしまうことがあります。ここでは、様々な騒音について見ていきましょう。
「お隣の人、こんな遅い時間に帰ってくるんだ」
こんな風に思ったことはありませんか?
私たちのライフスタイルには、大きく個人差があります。
仕事から帰ってくる時間や寝る時間などの生活時間帯、通勤に使う交通手段や楽器を弾くか、頻繁に友人を呼ぶか、ペットを買っているかなど日々の過ごし方。
どれを取っても一人ひとりの生活の仕方によって異なります。
生活の仕方が違えば、時と場合によっては五月蝿く感じてしまうかもしれません。例えば、もう寝ようとしているときに、隣でどんちゃん騒ぎの飲み会が行われていたら、参ってしまいますよね。
このように、自分にとっては当たり前だと思っている生活が、他人にとって当たり前だとは限りません。
向こうは、何気なく過ごしているだけでも、こちらにとっては騒音に感じることもあります。
実際、環境省が行っている生活騒音調査では、騒音の主な原因として、お風呂の音やドアの開閉音、部屋での足音、ペットの鳴き声、家電のモーター音などごくありきたりな生活音が挙げられています。
ライフスタイルの違いによる騒音のほかに、住んでいるところの構造による騒音もあります。
実は建物の構造によって、音の響きやすさは異なります。
建物の構造には、大きく、木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造の5つがあります。
このなかでも特に、木造と軽量鉄骨造・重量鉄骨造の建物は、音が響きやすいと言われています。
音が響きやすい建物では、何気ない行動でも実は音が聞こえている! ということが起こります。
足音やシャワー音であっても、上下左右の部屋へ振動によって音が伝わってしまうのです。
もし壁の向こうに静かに過ごす寝室などがあれば、ちょっとした音でも騒音として認識してしまう可能性も高くなります。
このように、壁・床の構造や部屋の間取りなど様々な要素が関係してきます。
もちろん、このようなご近所と関係した騒音のほかに、外のバイクや自動車がうるさいという場合もあります。
このように、音が聞こえる原因は様々で、気にしはじめるとキリがありません。
生活音を防ぐことができればとりあえず構わない、という人もいれば、よくホームパーティーをするのでうるさくしてしまうかも……という人もいるかもしれません。
もし楽器を弾きたい場合は、防音性能はさらに気にかかるところですよね。
ご近所の騒音をどれくらいなら許容できるか、自分はどのような暮らし方をするのか、の両方を考えて住まいを選ぶことが、騒音トラブルを回避する重要なポイントです。
では、騒音トラブルを回避して、自分もリラックスして暮らすには、どのように住まいを選べば良いのでしょうか?
アパートの場合、壁がコンクリート・厚さ15cm以上であればそれなりの防音性が期待できますが、建設コストが高くなるため実際のところあまり多くはありません。
では、マンションの場合、賃貸と分譲で差はあるのでしょうか。
分譲マンションは、所有権を分けて売るという特性上、長く使い続けることを前提に建築されています。
そのため、壁の厚さや構造、間取りなどの点で、賃貸マンションよりもしっかり作られており、防音性能や保温性に優れています。
また、賃貸ほど住民の入れ替わりがないため、お隣が変わったらうるさくなった……というリスクは少ないです。
賃貸のために建てられたマンションは、どんなにこだわった高級マンションでも、必ず貸主が利益を出せるようなコストで建てられています。
そのため、内装などの見た目は分譲に引けを取らなくても、建物の構造はそれほど高性能ではないケースもあります。
もちろん構造がしっかりしている賃貸マンションもありますし、分譲用のマンションの一室を貸している分譲賃貸の場合も防音性能は期待できます。
ただし、そのぶん家賃は高めに設定されていることになります。貸主に利益が出るように家賃が設定されている以上、近い性能であれば分譲マンションの方が割安なのです。
まとめると、分譲マンションは概ね防音性能が高く、分譲賃貸・一部の賃貸マンションは防音性能が高ければ家賃も高い、ということになります。
とはいえ、本当に分譲マンションなら全て防音性能が高いのでしょうか?
また、分譲でも分譲賃貸でもない賃貸マンションでは、どうすれば防音性能が高いかどうかを判断できるのでしょうか?
この判断にはやはり、建物の構造が大きく関係してきます。
では、具体的に建物のどこに注目すれば防音性能を見分けられるのでしょうか?
ここでは、そのカギとなるものについて見ていきましょう。
上でも触れましたが、まずは木造、軽量鉄骨造、重量鉄骨造、鉄筋コンクリート造、鉄筋鉄骨コンクリート造の5種類のなかでも、
のいずれかのマンションを選ぶことが肝心です。
これらはコンクリートで作られており、遮音性が高くなっています。
コンクリート造とはいえ、壁が薄いとやはり振動が伝わりやすくなります。
このため、隣からの生活音を防ぐようであれば壁の厚さは15cm以上が望ましいです。ノックなどをして確かめてみましょう。
また、上の階からの音は天井と床の構造に左右されます。
生活音を極力防ぎたいようであれば、「二重天井」・「二重床」が好ましいです。
天井部・床部のコンクリートは「スラブ」と呼びますが、この下に空間を取っているのが「二重天井」です。
ダクトや配管が天井の板の上へ隠れて天井がフラットになっているのが二重天井の特徴です。直床の場合、天井面はでこぼこしています。
また、スラブの上に支えを使って床を乗せて空間を作り、そこにガスや電気などの配線を通しているのが「二重床」です。
二重床は話し声などの空気を振動させて伝わる音を防ぐ効果があり、生活音に強いです。
ただし、床への衝撃は工法に
よっては響いてしまいます。
もし上の階に住むのがファミリー層で、子供の跳ねる音が気になる等の可能性があるならば、防音材を使用しているかを確認すると良いでしょう。
玄関のドアや窓サッシなどは、意外と見落とされがちなポイントです。
ドアが薄い場合、話し声が聞こえやすかったり、廊下の床の材質によっては靴音が響いたりすることがあります。
ドアの重さや、内部に遮音材が入っているかどうかを確認してみるのも良いでしょう。
窓の外からの騒音は、実はガラスよりもサッシから入ることが多いです。
ピアノなどの楽器を弾きたい、すぐ近くを電車が通る……という場合には、二重サッシなども検討してみると良いでしょう。
いかがでしたか?
騒音トラブルは意外と身近な行動でも起こってしまいます。隣近所が変わると途端に苦痛に……というケースも珍しいことではありません。
防音性は、建物全体や天井・床の構造といった基本的なところに左右されるので、大家の利害が必ず絡む賃貸では、なかなか見つからなかったり、割高だったり……となかなか難しいです。
いま住んでいる部屋で音が気になっている方は、構造や素材を参考にしながら、分譲も視野に入れて考えてみてはいかがでしょうか。