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2017.11.20
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マンションが欲しいと思っても、中古マンションと新築マンションでは、性質も探し方も大きく異なりますよね。
「中古と新築、どちらにするか?」ということについて、多くの人が悩むと思います。
中古の方が安そうだけれど、リフォームでお金がかかる? ローンや経費の違いは? など、予算に関して色々検討しなければなりません。
今回は、マンションを購入する際の予算をどのように考えればよいのか、中古と新築を見比べながらご紹介します。
まずは中古・新築マンションの物件価格を、首都圏を例として比較します。
2016年の首都圏のマンションの平均価格は、
・中古:3049万円 (不動産経済研究所調べ)
・新築:5490万円 (東日本不動産流通機構調べ)
となっています。中古マンションの方が1400万円も安くなっていますね。
また、中古マンションの築年数による価格差も気になるところですよね。
2012年を例とすると、東京での築年数別の坪単価の平均は、下の表のようになっています。
新築 | 268.9万円 |
築5年 | 232.1万円 |
築10年 | 203.8万円 |
築15年 | 175.0万円 |
築20年 | 149.9万円 |
築25年 | 139.3万円 |
新築と築10年ではなんと65.1万円もの差があり、築15年をすぎると下げ幅は緩やかになっていますね。
築5年しか経っていない場合でも、坪単価は平均35万円以上も下落しています。
中古マンションは、物件価格では新築マンションより非常にリーズナブルなことがお分かりいただけるのではないでしょうか。
中古マンションと新築マンションの諸経費は、一般的に
「新築マンションは2.5〜5%、中古マンションは5〜8%程度」
と言われています。
中古マンションと新築マンションで、経費の内訳にどのような違いがあるのでしょうか。
両者を比較しつつ、諸経費について知っておくべきことを紹介していきます。
マンションでは、共用部分の修繕工事の費用を積み立てるために「修繕積立金」を徴収されます。
新築で購入する際にまとまった金額を支払い、以降は毎月決まった額を納入します。
この月額は、築年数が増すにつれて上がっていく方式が一般的です。
「修繕積立基金」とは、新築時に払うまとまったお金のことを指します。
金額はマンションによって様々ですが、30万〜80万円程度が見込まれます。
この修繕積立基金は、新築マンション特有の購入時の経費ですね。
ただし、入居した後は中古マンションの方が月額が高い可能性もあることを、頭に入れておくと良いでしょう。
仲介手数料とは、売主・買主の間の交渉や連絡を、不動産業者に代行してもらう場合に支払います。これは、中古マンションの購入に特有の経費です。
仲介手数料の上限は法律で決められていて、住宅の土地もしくは建物の価格のうち
200万円以下の金額:5%
200万円を超え400万円以下の金額:4%
400万円を超える金額:3%
とされています。これらの合計に消費税がかかります。
例えば、3000万円の中古マンションを購入する場合の仲介手数料は、
(200万円×5% + 200万円×4% + 2,600万円×3%) × 消費税8%
= 103万6,800円
となります。
大きな買い物なだけに、3〜5%でもかなりの額になってしまいますね。
諸経費の相場が中古マンションの方が高い理由はここにあります。
不動産取得税とは、不動産を取得するときにかかる税金です。
マンションを買う場合、「建物」と「土地」のそれぞれにかかります。
納める額は、下の式で求めます。
取得した不動産の価格(課税標準額) × 税率(3% ※) = 税額
※平成30年3月31日まで
この課税標準額は、固定資産評価基準で決まっている価格(評価額)のことで、公示価格の7割程度と言われています。
また、評価額は以下の場合に控除を受けられます。
床面積50㎡以上240㎡以下であれば、評価額から【1,200万円】が控除されます。
・床面積50㎡以上240㎡以下
・昭和57年1月1日以降に建てられた、または新耐震基準を満たしている
このような住宅は、建てられた時期に応じた控除を受けられます。
マンションを買うと、敷地を分割した土地の「持ち分」と呼ばれるものが付いてきます。
これも不動産取得税の対象ですが、床面積50㎡以上240㎡以下であれば、下の2つのうち高い方が評価額から控除されます。
・45,000円
・土地1㎡当たりの価格 × 住宅の床面積の2倍(1戸当たり200㎡が限度)× 住宅の取得持分 × 税率(3%)
さらに、平成30年3月31日までであれば、
(評価額 − 上の控除額) × 0.5 = 課税標準額
となります。
以上の控除をうまく活用すると、最終的に不動産取得税はゼロ~数万円程度で済んでしまいます!
マンション選びの際には、
・床面積が50㎡以上240㎡以下であるかどうか
・昭和57年1月1日以降に新築されたものかどうか
の2つをチェックしておきましょう。
住宅を購入するとき、登記を申請するのに必要な税金が、登録免許税です。
新築物件を購入したら「所有権保存登記」、
中古物件を購入したら「移転登記」、
住宅ローンを借り入れる際は「抵当権の設定登記」をします。
登録免許税は、不動産取得税と同じ「課税標準額」に、登記の種類に応じた税率がかけられます。税率は以下の表の通りです。
登記の種類 | 税率 |
所有権の保存登記 | 0.40% |
所有権の移転登記 | 2.00% |
抵当権の設定登記 | 0.40% |
移転登記は高めになっているので、これは中古マンションの方が高くつくことになります。
ここまでは、物件の価格と最初にかかる諸経費について、一通りお話ししてきました。
マンションを購入する前に考えておくべき費用は、他にももう少しあります。
中古マンションを購入するとして、せっかく新築マンションよりも割安なのだから、少しお金をかけて装いを新たにしたいですよね。
リフォームすることによって、自分の暮らしに合った間取りや設備へ変えたり、好みの雰囲気になるように床や壁などを取り替えたりと、理想的な住まいを自分で作ることができます。
しかし、
……といった失敗もありがちです。
リフォームする前提で中古マンションを購入するようであれば、絶対にしたいリフォーム箇所はいくらかかるのか、どういった制約があるのかを最初に調べ、リフォームの予算の目星をつけておきましょう。
新築と中古では、毎年かかる住居費に違いはあるのでしょうか。
固定資産税については、資産価値の下がっている中古マンションの方が安そうな気がしますよね。
しかし、3階建て以上の耐火構造・準耐火構造の新築マンションは、建物部分の固定資産税が5年間のあいだ半額になります。
このため、固定資産税はしばらく新築マンションの方が安くなるのです。
また、中古マンションでリフォームをしていない場合、比較的早い時期に設備のメンテナンスが必要になり、予想外の出費をすることもあります。
これらを考えると、最初の数年間は、新築マンションの方が住居費がかからない可能性が高そうですね。
新築でも中古でも、住宅ローンは同じものを利用することになります。
ただし、中古マンションの場合、
というケースもあります。
前者の場合は月々の支払いが増えますし、後者の場合は頭金が多く必要になります。
また、住宅ローンを借りて家を買うと所得税が減税される、「住宅ローン減税制度」と呼ばれるものがあります。
毎年末の住宅ローン残高、またはマンション購入にかかったお金のうち、少ない方の金額の1%が所得税から10年間控除される制度で、最大400万円もの控除が受けられます。
ただし、中古マンションでは、耐震性能のあることが条件となります。これを見落とすとせっかくの控除が受けられなくなってしまうので要注意ですね。
いくつもの項目で比較してみると、中古マンションと新築マンションでは、出費の内訳や気をつけるべきポイントに様々な違いがありました。
物件自体は中古マンションの方がリーズナブルですが、初期費用は中古マンションの方が高く、住み始めてからかかるお金にも差があるので、一概にどちらが安いとは言えません。
予算を考える際にどちらにするかまだ迷っているようであれば、中古マンションと新築マンションのそれぞれについて別で計算しておくことをおすすめします。
中古マンションの場合、リフォームをするかどうかも慎重に検討してみましょう。
それぞれの長所と短所をよく理解して、どちらが自分に合っているのか考えながら、理想の家を探すことができると良いですね。